睡眠ホルモン「メラトニン」とは？睡眠中に得られるホルモンの役割についても解説

睡眠ホルモン「メラトニン」とは、どのようなホルモンなのでしょうか。ここでは、質のよい睡眠を求める人に向け、メラトニンがもたらす効果から、分泌を促す方法まで解説します。メラトニン以外のホルモンについても紹介するため、健やかな眠りのために役立ててください。

「睡眠ホルモン」メラトニンの効果とは

睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンについて、眠りと健康、美容への効果について解説します。

眠気を誘う

メラトニンは、脳の松果体で生成されるホルモンです。メラトニンは、起床から15時間程度経過し、周囲が暗くなった時点で分泌が始まります。睡眠中にも分泌は続き、明け方に光を感じとると分泌は止まります。メラトニンの役割は、体と心を落ち着かせ、スムーズに眠りへと誘導することです。ストレスなく入眠できると、疲労回復が促進されます。

アンチエイジング効果をもたらす

細胞は活性酸素に触れると老化するため、活性酸素を除去すると、アンチエイジングに効果的です。メラトニンは抗酸化力が強く、活性酸素を除去するために美容や健康を促進します。もし寝不足がたたって疲れた印象に見える場合は、メラトニン不足が一因かもしれません。

心身の健康に寄与する

メラトニンは、免疫細胞であるナチュラルキラー細胞をサポートし、免疫機能を高めます。また、冬などの日照時間が短い時期は気分が落ち込んだりしがちですが、メラトニンによってそれを防ぎ、精神を安定に保つように働きかけます。

メラトニンの生成ステップ

メラトニンの生成ステップについて、メラトニンの原料となるトリプトファンを取り込むところから順を追って解説します。

トリプトファンからセロトニンへの変化

トリプトファンは、チーズなどの乳製品や、納豆などの大豆製品などに豊富に含まれる栄養素です。トリプトファンは、体内でセロトニンへと変換されます。また、セロトニンはホルモンの一種で、気持ちを落ち着かせる効果があることから「幸せホルモン」とも呼ばれています。

セロトニンからメラトニンへの変化

日中には、トリプトファンからセロトニンへと変換されます。また、周囲が暗くなるとセロトニンからメラトニンへの変換が始まり、睡眠中もメラトニンの分泌は続きます。多くのメラトニンを分泌させるには、日中に十分な量のセロトニンを蓄えておく必要があります。

トリプトファンがメラトニンになるまでの時間

食品に含まれるトリプトファンをメラトニンに変換するには、十数時間ほどを要します。したがって、就寝前にトリプトファンを含む食品をとったとしても、すぐに眠気を感じるわけではありません。入眠に不安があれば、日中の生活習慣から見直す必要があります。

上質な睡眠をとると睡眠中のホルモン分泌が促進！

睡眠中にはメラトニン以外にもさまざまなホルモンが活発に分泌され、心身機能のサポートに役立っています。睡眠中に分泌されるホルモンについて、特徴と役割を紹介します。

成長ホルモン

成長ホルモンは脳下垂体で生成され、特に、入眠から3時間の間に活発に分泌されるホルモンです。成長ホルモンは新陳代謝を促し、骨や筋肉の成長を助けます。また、記憶力や思考力などの精神面もサポートします。心身の疲労回復・体の成長・免疫機能の向上などにも成長ホルモンは欠かせません。

コルチゾール

コルチゾールは、深夜から朝方にかけて副腎から分泌されるホルモンです。コルチゾールはスムーズな目覚めに向け、明け方に血圧や血糖値を向上させます。また、コルチゾールはストレスを感じたときも分泌され、精神の安定に寄与します。

グレリンとレプチン

グレリンとレプチンは、いずれも食欲に関係するホルモンです。グレリンは胃から分泌され、食欲を増進させます。また、レプチンは脂肪細胞から分泌され、食欲を抑えるよう働きかけます。睡眠が不足すると、グレリンの分泌が高まる一方で、レプチンの分泌が減るために太りやすくなります。

上質な睡眠のコツ①メラトニンの分泌を高める

さまざまなホルモンをしっかり分泌させるために、上質な睡眠は欠かせません。ストレスのない入眠に向け、就寝時にメラトニンの分泌を高めるコツを紹介します。

朝日を浴びる

正常な生活リズムは、メラトニンの分泌を促進します。朝しっかり目を覚まし、日中は精力的に活動しましょう。また、メラトニンは朝日を浴びると分泌が止まり、眠気がなくなります。活発な活動のために、起床後はカーテンを開ける、外を散歩するなどして光を浴びてください。

朝食を食べる

元気に活動するために、朝食を食べてエネルギーを補給しましょう。たとえばホットミルクは、メラトニンの原料となるトリプトファンが豊富に含まれているうえに、体温を上げる効果も期待できます。ほかにも、味噌汁や納豆のように、大豆製品を取り入れた朝食もおすすめです。

適度に運動する

メラトニンの原料となるセロトニンは、運動をする、日光を浴びるなどで生成が促進されます。そのため、生活の中で運動を取り入れることをおすすめします。息があがるような激しい運動でなくとも、散歩・ジョギングなど無理なくできる範囲で取り組みましょう。

笑顔を意識しリラックスして過ごす

ストレスは、メラトニンの生成に悪影響であるといわれています。眠りの妨げになるような強いストレスに注意し、ストレスを感じたら早めに解消しましょう。笑顔で過ごすと、メラトニンの原料となるセロトニンの生成が促成されると知られています。たとえ作り笑いでも効果があるため、明るい気持ちで過ごすように意識しましょう。

上質な睡眠のコツ②入眠前の行動に注意する

無理なく眠りにつくには、入眠前の行動が重要です。注意したほうがいい入眠前の行動について解説します。

食事を避ける

胃腸が活動している間は眠りにつきにくいため、就寝直前の食事を避けましょう。また、タイミングが悪い時間に食事をすると、内臓の働きを管理する脳も休めなくなります。どうしても空腹が抑えられない場合は、うどんなどの消化によい食べものを選びましょう。

カフェインやアルコールを避ける

カフェインには覚醒効果があります。また、寝る前にお酒を飲むのが習慣だという人もいるかもしれませんが、アルコールには睡眠を浅くする作用があるため、中途覚醒をする可能性があります。加えて、いずれの飲みものにも利尿作用があるため、寝る前は控えましょう。

テレビやスマートフォンなどを避ける

テレビやスマートフォンを見ると、脳が興奮状態になり眠りにくくなります。しかも、明るい光が目に入るため、メラトニンの分泌が抑制されてしまいます。寝室では静かな環境でリラックして過ごし、自然に眠りにつくのを待ちましょう。

上質な睡眠のコツ③寝具を見直す

寝具が体にあわないと、痛みを感じて眠りにくいです。たとえばマットレスを選ぶ際は、弾力性や体圧分散性をチェックしましょう。また、季節にあっていない寝具を使っていると、暑さや寒さに悩まされる可能性があります。加えて、吸湿・放湿性も重要です。布団の中を快適な温湿度に保てるように、機能性重視で寝具を見直してください。

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まとめ

睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンは、眠気をもたらす以外に、アンチエイジングや心身の健康にも貢献します。また、睡眠中にはさまざまなホルモンが分泌されるため、メラトニンの分泌を高める、適した寝具を選ぶなどして睡眠の質を高めましょう。

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