枕が高すぎるとどうなる？殿様枕症候群の影響や対処法を紹介

自分に合っていない高さの枕を使っていることが身体に悪影響を与えるのではないかと心配している人も多いのではないでしょうか。枕が高すぎると首こりや肩こり、腰痛の原因になる可能性があります。加えて、高すぎる枕を使うと首の後ろの血管が裂ける殿様枕症候群を引き起こし、脳卒中のリスクが高まるという研究データもあるので注意が必要です。

そこで今回は、高すぎる枕を使うことが身体にどのような影響を与えるのかを紹介します。理想的な枕の高さや選び方も紹介しているので、枕の買い替えを検討している人もぜひ参考にしてみてください。

枕が高すぎるとどうなる？

高すぎる枕を使っていると、以下のような身体の不調を引き起こす場合があります。

• 首こりや肩こりにつながる
• 腰痛の原因になる
• いびきをかきやすくなる
• ストレートネックの原因になる
• 睡眠の質が下がる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

首こりや肩こりにつながる

枕が高すぎると、長時間顎が引いた状態になることで首や肩周辺の筋肉が緊張してしまいます。筋肉が緊張している状態が続くと、血行不良によって首こりや肩こりを引き起こす原因になります。

起床時に首や肩に痛みがある人は、枕が高すぎる可能性があるので枕の高さを見直してみましょう。

腰痛の原因になる

高すぎる枕を使っていると頭が上がって、重心が腰部分に集中しやすくなります。腰に負担がかかり続けると、腰痛を引き起こす原因になります。身体の負担を軽減するためにも、自分に合った高さの枕で理想的な寝姿勢をキープすることが大切です。

いびきをかきやすくなる

高すぎる枕を使うと顎が下を向いて気道が狭くなるため、いびきをかきやすくなってしまいます。また、寝ている間に呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群」も気道が圧迫されることが原因の1つとされています。

いびきや睡眠時無呼吸症候群は、脳に十分な酸素が行き届かなくなることで睡眠の質が低下する可能性があります。

ストレートネックの原因になる

ストレートネックとは、頭を前にするスマホを見るような姿勢を長時間続けることで首の自然な曲線が失われて、まっすぐになることをいいます。

高すぎる枕を使い続けると、首の曲線がなくなった状態で眠ることになるため、ストレートネックを悪化させてしまいます。ストレートネックは、以下のような不調の原因になるので注意が必要です。

• 首こり
• 肩こり
• 手のしびれ
• 頭痛
• 目まい
• 腰痛

ストレートネックの人におすすめの枕は、こちらの記事で詳しく紹介しています。

ストレートネックの改善におすすめの枕6選｜枕選びのポイントも紹介

睡眠の質が下がる

高すぎる枕を使うことで身体の痛みで目が覚めたり、いびきをかいたりすると睡眠の質が下がってしまいます。睡眠の質が下がると、十分な睡眠時間を確保しても日中の眠気や倦怠感を引き起こす原因になります。

理想的な寝姿勢で良質な睡眠をとるためにも、高すぎる枕を使うのは避けましょう。

高すぎる枕と脳卒中の関連性を示す「殿様枕症候群」とは？

国立循環器病研究センターは、殿様枕症候群という新たな疾患概念を発表し、高すぎる枕と脳卒中の原因の1つとされている特発性椎骨動脈解離に関連性があることを発表しました。

特発性椎骨動脈解離とは首の後ろの椎骨動脈という血管が裂けてしまうことで、脳卒中を起こす原因とされています。15cm以上の枕を使っている約9割が特発性椎骨動脈解離の患者であったことが研究データからわかり、枕が高いほど発症割合が高まるとされています。

参考：国立循環器病研究センター

脳卒中のリスクを抑えるためにも、高すぎる枕を使うのは避けましょう。

【寝姿勢別】理想的な枕の高さ

身体の負担や病気のリスクを軽減するには高すぎる枕を使うのを避け、自分に合った高さの枕を使うようにしましょう。枕の理想的な高さは、寝姿勢によって異なります。

ここからは、枕の理想的な高さを寝姿勢別に紹介します。

仰向け寝

仰向け寝に適している枕の高さは、立っているときと同じような首から背骨にかけてのS字カーブをキープできる高さといわれています。

具体的には、仰向けになったときの首とマットレスにできるカーブの深さに2cmプラスした高さが理想的です。実際に枕を試す際は、頭を乗せたときに顎が下がったり上がったりせず、目線が少し下を向くくらいを目安にしましょう。

首のカーブを測る手順は、以下のとおりです。

1. 壁に背中を付ける
2. 壁には頭を無理に付けず、少し顎を引いた状態で直立する
3. 壁から首の1番深いカーブの距離を測る

平均的な首のカーブの深さは男性が5～6cm、女性が3～4cmといわれています。壁を背にして立った場合の首と壁の1番大きい隙間に2cmプラスした高さの枕を選ぶのが理想的です。

なお、適切な枕の高さは、マットレスの硬さによっても異なります。例えば、柔らかいマットレスでは身体と一緒に枕も沈み込むことで、低めに感じる可能性があります。そのため、自分に合った枕の高さの目安を調べたあとは、実際にマットレスの上で使用感を試すのがおすすめです。

横向き寝

横向き寝では、首から腰までの骨が一直線になっている寝姿勢をキープできる高さの枕が理想とされています。肩や腕が圧迫されないように、仰向け寝に適した枕より3～5cm高いものを目安にしましょう。

うつ伏せ寝

高い枕でうつ伏せ寝をすると、首や腰が反って身体に負担がかかってしまいます。そのため、仰向け寝に適した枕より1～2cm低いものを選ぶのが理想的です。首や腰の痛みを起こさないためにも、傾斜が緩やかな形状の枕を選ぶようにしましょう。

枕が高すぎるときの対処法

枕が高すぎるときの対処法には、以下の4つがあります。

• 中材を取り出す
• 身体の下にタオルを敷く
• タオル枕を活用する
• 枕を買い替える

1つずつ詳しく紹介します。

中材を取り出す

中材の出し入れができる枕であれば、中材を取り出すことで低くできます。中材は一気に取り出すより、高さを確認しながら少しずつ調整するのがおすすめです。取り出した中材は、枕のボリュームがなくなったときに補充できるように大切に保管しましょう。

身体の下にタオルを敷く

中材の出し入れができない枕を使っているときは、肩や背中の下にタオルを敷いて身体の位置を上げるのが効果的です。ただし、寝返りによってタオルがずれて寝心地が変わる可能性があるので、枕をすぐに買い替えられないときの応急処置として取り入れましょう。

タオル枕を活用する

枕が高すぎる場合は、タオル枕を作って代用する方法もあります。ただし、寝返りによって形が崩れて寝心地が悪くなる可能性があります。そのため、枕をすぐに買い替えられないケースときに取り入れるようにしましょう。

バスタオルでタオル枕を作る手順は、以下のとおりです。

1. バスタオルを3つ折りもしくは4つ折りにする
2. バスタオルを手前から巻くように折りたたむ
3. 実際に寝て違和感がなくなる高さになるまで巻き方を調整する

おすすめのタオル枕

枕を買い替える

中材の出し入れができない枕で高く感じる場合は、枕を買い替えるのがおすすめです。タオルで一時的に対処できても、使っているうちに高さが合わなくなって寝心地が悪くなってしまいます。身体に負担をかけないためにも、可能な限り早く枕を買い替えましょう。

高さ調整できる枕を選ぶのもおすすめ

どのくらいの高さの枕に買い替えるべきか悩んでいる人は、高さ調整のできる枕を選んでみましょう。ウレタンシートやパイプなどで高さ調整できる枕であれば、実際に使いながら自分に合った高さに変えられます。

また、適切な枕の高さがわからない人は、オーダーメイド枕を選ぶのもおすすめです。オーダーメイド枕は首や頭のサイズを計測したり、カウンセリングを受けたりしたうえで自分に合った枕に仕上げてもらえます。

なかには、定期メンテナンスで高さの再調整ができる商品もあります。自分に合った枕を使い続けたい人は、定期メンテナンスができるものを選びましょう。

自分に合った枕を選ぶために高さ以外に見るべきポイント

自分に合った枕を選ぶためには、高さ以外にも素材やサイズ、形状も確認するようにしましょう。
ここでは、自分に合った枕を選ぶための見るべきポイントを紹介します。

素材

枕はどのような素材が使われているかによって、以下のように寝心地や耐久性、通気性が異なります。なお、加工方法や商品によって特徴が異なるので、あくまでも目安として確認してください。

自分に合った枕を見つけるには、好みや悩みを明確にしたうえで、素材ごとの違いを押さえることが大切です。

例えば、ほどよいフィット感で包まれるような寝心地が好みの人は、低反発ウレタンや羽毛などの柔らかい素材がおすすめです。寝返りがスムーズに打てない人は、高反発ウレタンや高反発ファイバーを選んでみましょう。

枕を衛生的に使い続けたい場合は、自宅で洗えるタイプが多く、通気性に優れているポリエステルパイプやファイバー素材の枕を選ぶのがおすすめです。

サイズ

枕のサイズが小さすぎると、寝返りを打ったときに枕から頭が落ちて寝姿勢が崩れやすくなります。枕のサイズを選ぶ際は、寝返りを打っても頭が落ちないように頭3つ分の幅を目安にするのがおすすめです。枕のサイズの選び方は、こちらの記事で詳しく紹介しています。

枕のサイズとは｜選び方のポイントや枕の種類を詳しく解説

形状

枕には長方形型以外にもさまざまな形状があり、形の違いによって寝心地が異なります。自分に合った枕を見つけるためにも、形状ごとの違いを押さえておきましょう。

ここでは、それぞれの形状の特徴を紹介します。

標準・長方形型

一般的な形状とされている標準・長方形型の枕は、商品のバリエーションが多いのが特長です。そのため、豊富な選択肢から自分の好みや悩みに合った高さやサイズ、素材を見つけやすいのが魅力です。枕カバーの種類も豊富なので、枕カバーの素材やデザインにこだわりたい人におすすめです。

アーチ型

アーチ型は、首や肩を乗せる部分が緩やかなカーブを描いている形状の枕です。首や肩周辺の圧迫感が小さくなるように設計されているため、首こりや肩こりに悩んでいる人におすすめです。

くぼみ型

くぼみ型は後頭部を乗せる部分がくぼんでおり、両サイドに高さがある形状の枕です。くぼみに頭と首がしっかりフィットすることで安心感を得られます。ほどよく後頭部が下がると気道が圧迫されにくくなり、いびきを和らげる効果が期待できます。

波型

波型は首と頭のカーブに合わせて設計されたものが多く、横から見ると波のように見える形状の枕です。出っ張りが大きい方に首を乗せることで首と頭がしっかりフィットし、首の負担を軽減しやすい特長があります。

出っ張りが小さい方を首側にすると、後頭部が上がって寝姿勢が崩れやすくなるので注意しましょう。

傾斜型

頭から背中に向かって徐々に低くなるように設計されている枕を傾斜型といいます。頭から肩甲骨付近まで身体の広範囲を支えてくれるので、身体の沈み込みを抑えて理想的な寝姿勢をキープしやすい特長があります。

他の形状の枕と比較してサイズが大きいものが多いため、寝返りによって頭が落ちにくいのも嬉しいポイントです。

お手入れのしやすさ

人は寝ている間にコップ1杯分の汗をかくといわれています。枕にたまった湿気を放置すると、へたりが進行して高さが変わってしまう可能性があります。自分に合った高さをキープするためにも、定期的なメンテナンスが欠かせません。

小まめなメンテナンスを続けるには、お手入れのしやすい枕を選ぶことが大切です。例えば、家庭で洗濯できる枕や天日干しできる枕であれば、お手入れの手間を軽減しやすくなります。

首・肩まわりをしっかり支えるおすすめ快眠枕10選！

まとめ

枕が高すぎると首こりや肩こり、腰痛といった身体の不調につながります。加えて、殿様枕症候群によって脳卒中のリスクを高めてしまうことも考えられます。

身体の負担を軽減するためにも高すぎる枕を使うのを避けましょう。枕を選ぶ際は、本記事で紹介した適切な枕の選び方を参考に自分に合ったものを購入してみてください。