公開日:2023.08.08
更新日:2023.09.07
目次
赤ちゃんは、成長の過程で睡眠退行が起こりやすく、寝つきが悪くなったり夜泣きをしたりするようになります。そのため、この時期の寝かしつけに苦労している方も多いのではないでしょうか。本記事では、赤ちゃんの睡眠退行の原因や対策方法について解説します。赤ちゃんの睡眠にお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
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「睡眠退行」とは、一度整った赤ちゃんの睡眠リズムが乱れることです。例えば、これまできちんと寝ていたのに、「寝つきが急に悪くなった」「夜中に何度も目を覚ますようになった」などの現象を指します。ただし、赤ちゃんの睡眠パターンには個人差があり、睡眠退行が起こらない場合もあります。
睡眠退行は、生後4ヶ月から1歳半ごろに起こることが多いと言われています。また、1回だけでなく、数回起こる場合もあります。成長が進むと少なくなる傾向があり、1歳半以降で起こることはあまりありません。
それでは、睡眠退行はなぜ起こるのでしょうか。ここでは、睡眠退行の主な原因を3つ取り上げて解説します。
睡眠退行の原因の一つとして、「大脳辺縁系」の発達が挙げられます。大脳辺縁系は、感情や欲求をコントロールする部分です。この部分が成長すると、赤ちゃんは泣くことで自分の気持ちを表現できるようになります。そのため、就寝の際に、欲求や欲望、不安などの感情が豊かになると泣き出してしまい、寝かしつけがスムーズにいかなくなるのです。
赤ちゃんは、生まれたばかりの生活リズムから、だんだん大人と同じ睡眠リズムになっていくため、その変化の過程で睡眠退行が起こりやすいと言われます。特に生後4ヶ月ごろになると、それまでの細切れ睡眠からの切り替えが始まることから、睡眠リズムの変動が生じやすいのです。
赤ちゃんの分離不安には個人差がありますが、生後8ヶ月ごろに始まり、10ヶ月~1歳半に最も強くなる傾向があります。正常な発達過程で起こるものなので基本的に心配する必要はありませんが、分離不安による夜泣きや睡眠退行が起こることもあります。
睡眠退行の特徴や原因は、赤ちゃんの月齢によっても変わってきます。ここでは、月齢別の特徴と原因を紹介します。
月齢3〜4ヶ月の場合、新生児期の細切れの睡眠から、夜にまとまって寝るようになるといった、睡眠の変化があります。大脳辺縁系の発達により、泣きやすくなるのが特徴で、寝ぐずりや睡眠退行が起きやすく、「魔の3ヶ月」とも言われます。また、夕方から激しく泣き始める「黄昏泣き」も起こりやすいです。
月齢5~8ヶ月での特徴は、分離不安による睡眠退行が起こりやすいことです。歯が生え始める赤ちゃんも多く、歯の痛みや不安感で寝つきが悪くなる場合もあります。特に8ヵ月は昼寝が3回から2回に移行していく時期で、睡眠リズムが崩れやすい傾向があります。
月齢11~12ヶ月は、立ったり歩き出したりする時期です。活動レベルが上がるため、脳や身体の成長が著しく、昼間に受けた刺激で眠れなくなるケースが多いです。まれに、悪夢を見て泣き出すこともあります。
1歳半になると自己主張がはっきりできるようになり、「寝たくない」という意思表示が増えます。また、奥歯や犬歯が生え始める時期でもあるため、歯ぐきの痛み・むずがゆさで寝づらくなったり、目を覚ましたりすることもあります。
一般的に、睡眠退行は1歳半ぐらいでほとんど起こらなくなることが多いですが、2歳以降に起こる場合もあります。その原因としては「暗闇やおばけが怖い」と理解して寝るのを嫌がる、「イヤイヤ期」が始まり睡眠や睡眠環境に対してこだわりが出る、といったことが挙げられるでしょう。
「これは睡眠退行なの?」と気になる場合は、下記のリストで睡眠退行に当てはまる赤ちゃんの様子を確認してみましょう。
これらは睡眠退行の特徴になります。いくつかの点に心当たりがあるなら、睡眠退行の可能性が高いです。ただし、激しい夜泣きや寝ぐずりは病気と関連することもあります。心配なことがある場合は、かかりつけ医や専門機関に相談しましょう。
睡眠退行で赤ちゃんの寝かしつけが大変な場合、いくつかの対策を試してみることをおすすめします。ここでは、睡眠退行の主な改善策を紹介します。
まずは、赤ちゃんの生活のリズムを整えることが重要です。日中に規則正しい生活を行うことで体内時計が整っていきます。起きている時間は、一緒に遊んであげたり話しかけたりして、活動的に過ごすと良いです。また、月齢に応じて、必要となる睡眠時間が異なります。その時々に合った睡眠時間が確保できるよう、1日の生活スケジュールを立てておくと良いでしょう。
寝る時間に寝つきやすくするには、朝に太陽の光をしっかり浴びることも大切です。赤ちゃんの体内時計は未熟な状態ですが、夜は暗い部屋で過ごし、朝は日光を浴びるという生活を繰り返すことで整っていきます。加えて、朝の日光浴には、睡眠の質を高めるホルモンの分泌が促される効果もあります。起きたらすぐにカーテンを開けて部屋に光を取り込むよう、心がけましょう。
睡眠環境の見直しも、睡眠退行を改善する方法の一つです。寝室はエアコンを利用し、赤ちゃんが快適に寝られる室温にします。冬は室温18〜20℃、夏は26~28℃に設定すると良いでしょう。また、汗をかいていないか確認し、服装や寝具で体温調節をすることも重要です。周辺がうるさすぎると赤ちゃんも寝つきづらくなりますが、低月齢のときは、無音よりもホワイトノイズを好む場合もあります。そのため、換気扇や空気清浄機をあえてつけたままにしておくのも効果的です。
スマホやタブレットで、赤ちゃんを寝かしつけるための動画を再生している方も多いかもしれません。しかし、これらの画面から放たれるブルーライトを浴びることで体内時計が乱れる可能性があります。ブルーライトの強い光を夜に浴びると、脳が昼だと勘違いしてしまうからです。そのため、夜の寝かしつけを動画に頼りすぎないほうが良いでしょう。また、LED照明にもブルーライトが含まれていることから、寝るときは寝室の光全体に気を使う必要があります。寝る前の照明には暖色系がおすすめです。
赤ちゃんに眠る時間を学習してもらうため、「入眠儀式」を決めておくことも対策になります。入眠儀式とは、寝る前のルーティン、つまり、いつもの習慣のことです。毎日同一の内容を同じ順番で継続するのがおすすめです。例えば、絵本を読む、マッサージをする、子守歌を歌う、というルーティンを決め、繰り返し行います。また、統一した時間帯に行うのも効果的です。
月齢8ヶ月くらいから始まる分離不安が睡眠退行の原因になっている場合、適切に対処することで睡眠退行の改善につながるケースもあります。寝るときに、「離れたくないんだね」「暗いと怖いよね」と話しかけるなど、赤ちゃんの不安に理解を示してあげると良いでしょう。また、この場合、最も重要なのは、夜泣きをしたときに赤ちゃんに構いすぎないことです。あまり刺激を与えず、背中を撫でたり声をかけたりして落ち着くのを待つのが効果的です。
日中の強い刺激が睡眠退行の原因となる場合もあります。赤ちゃんは、ストレスを感じても言葉で気持ちを伝えられないため、泣くことで表現します。ただし、刺激は成長の過程で必要となるもので、悪いものではありません。パパママが出来るだけリラックスした状態で、日中にたくさんスキンシップをとることで赤ちゃんのストレスも和らいで、安心するでしょう。
睡眠退行は、月齢が進むと自然に起こりにくくなりますが、この時期を乗り越えるには、パパママのセルフケアも重要です。寝かせようと頑張りすぎて「産後うつ」になる場合もあるので、頑張りすぎないように心がけましょう。また、休める環境やパパママのサポート体制を整えておくことが大切です。自治体の育児相談を活用するのも良いでしょう。
赤ちゃんの寝つきが悪くなったり、夜泣きをしたりするようになる「睡眠退行」は、一度整った睡眠リズムが乱れることで起こる現象です。生後4ヶ月から1歳半ごろに起こる場合が多く、数回起こるケースもあります。赤ちゃんの成長過程において、脳の発達や睡眠リズムの変化、分離不安などが原因で発生しますが、月齢によっても特徴が異なります。生活のリズムを整える、睡眠環境を見直す、入眠儀式を決める、といったさまざまな方法で改善が可能ですが、あまり頑張りすぎないことも大切です。サポート体制を整えたり、自治体の育児相談を活用したりしながら、睡眠退行期を適切に乗り越えていきましょう。
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