公開日:2023.03.28
更新日:2023.06.26
目次
体調の変化が現れやすい体温は「健康のバロメーター」と呼ばれることがあります。そのため、定期的に検温して自分の平熱や体温の変化を把握することが大切です。体温は一日の間で変動しているので、寝起きや寝る前に体温を測り、どのように変化しているか確認しておくとよいでしょう。
この記事では、体温と免疫や睡眠の関係について紹介します。ぜひご自身の体調管理にお役立てください。
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寝起きで体温が高いと「寝起きだから体温が高い」と思うかもしれません。しかし、体温は一日のなかで起床時が最も体温が低い状態で、日中行動しているうちにだんだんと体温が上がっていくのです。
つまり、起床後に体温が高いことは「寝起きだから」というわけではありません。
体温は、病気による発熱のように体調で変化するだけでなく、一日を通して変動しています。睡眠にリズムがあるように、体温にも「概日リズム」と呼ばれるリズムがあります。
前述したように、寝起きは最も体温が低い状態です。日中活動するなかで体温が上がり、夕方は最も高くなり、夜になると下がり始めます。
概日リズムは年齢や性別によって異なります。
高齢の人は早朝4時前後の早い時間帯から体温が上がり始め、昼頃から夕方までは高く維持されたのち、夜の早い時間帯から体温が下がります。一方、若年者は高齢者と比べて、体温が変動する時間が遅い傾向があり、夜型の生活で概日リズムが崩れてしまっている人も少なくありません。
また、女性の体温は生理周期にも影響を受けます。生理周期のなかで低温期と高温期に分かれ、体温の変化が0.3~0.5℃程度あるのです。
体温の変化は睡眠に大きく影響しています。ここでは、睡眠と体温にはどのような関係があるかを紹介します。
夜になると体温は低くなり、眠るとさらに体温が下がります。深く眠るためには、脳や内臓を含む深部体温を下げることが大切です。人の身体は、寝る前に皮膚の表面から熱を放出することで深部体温が下がり、脳を休ませるように作用しています。
例えば、深く眠るために入浴が効果的といわれますが、これは入浴によって体温が上がることで、深部体温の放出がスムーズになることが関係しています。
夜更かしが続くと概日リズムが乱れてしまい、本来寝るはずの時間になっても体温が下がらず、寝つきが悪くなってしまいます。これにより朝体温が上がる時間も遅れるため、起床できずに寝坊してしまうのです。
夜型の生活をしている人は、一度崩れた概日リズムを直すのが難しく、寝坊しやすい状態が続いてしまいます。このような状態が慢性的に続く場合は睡眠障害の可能性もあるため、医療機関で相談することも検討してみましょう。
病気から身体を守るための免疫機能も体温と深く関係しています。免疫機能は体温が高いほど活発になるので、病気で発熱し体温が上がると、体内の免疫機能が活性化します。
免疫細胞が正常に働く体温は36.5℃といわれており、平熱が36℃以下の人は免疫細胞の働きが悪くなっている可能性があるので注意が必要です。低体温の人は、入浴や温かい飲み物などで、体温や免疫力を上げることを心掛けましょう。
ここでは、日本人の平均的な体温と、発熱と表現される体温を紹介します。
日本人の平均的な体温は36.5~37.2℃といわれており、約7割の人は平均体温に収まります。体温は年齢や性別などにより個人差があり、10歳以下は高めで、50歳を過ぎると低くなる傾向にあります。
感染症法では37.5℃以上は「発熱」、38.0℃以上は「高熱」と分類されています。ただし、平熱に個人差があるため発熱の定義は一概にはいえません。平熱が低い人は37℃程度でも発熱を疑いましょう。
寝る前に深部体温を下げておくと、ぐっすり眠ることができます。体温の変化を利用して質の高い睡眠を得るためにも、普段からできることを実践していきましょう。
室温が高すぎると、深部体温が下がらず寝つきが悪くなります。冬の時期であっても暖房をかけすぎないことが大切です。冬は16~19℃くらいの室温になるように設定しましょう。
電気毛布は寒い時期に活躍するアイテムですが、高温で加熱したまま寝ると夜中に目が覚める可能性があります。温度を低めに設定するか、タイマーを利用するなどして、加熱したまま寝ないようにしましょう。
就寝の1〜2時間前に入浴すると、布団に入る頃に深部体温が下がるため、スムーズな入眠につながります。38〜40℃のぬるめのお湯で、10〜15分程度つかると疲労回復やリラックス効果が高められるでしょう。
入浴で得られる健康効果やおすすめの入浴方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。
日中に適度な運動をすると夜眠りやすくなりますが、就寝前の運動は深部体温が上がるため、寝つきが悪くなってしまいます。運動は就寝の3時間前までにすることを心掛けましょう。
就寝前に軽めのストレッチをすると、身体や筋肉がほぐれることによるリラックス効果が期待できます。肩こりやストレス解消にもつながるので、就寝前の習慣に取り入れてみましょう。
起床直後は体温が下がっているため、白湯を飲むことで体温が上がり、すっきりと目覚められるでしょう。また、寝ている間はコップ1杯程の汗をかいているため、水分補給としても効果的です。
起床後に冷たい水を飲むと、内臓が冷えて体温が上がりにくくなるので、温かい飲み物を準備するように心掛けましょう。
朝起きて日光を浴びると、概日リズムがリセットされて体温の変動を正常にする効果があります。寝つきが悪い、朝起きられないといった人も、起床後に日光を浴びることで改善される可能性があります。
睡眠を促すホルモンの「メラトニン」の分泌は日光によって抑制され、14〜16時間後に分泌が再開されるといわれています。そのため、夜になると自然と眠気を感じられるようになり、スムーズに入眠できるでしょう。
自分の体温を正しく把握するためには、正しい体温の測り方を把握することも大切です。ここでは、体温計の選び方と測り方を詳しく紹介します。
体温計には以下のような種類があり、それぞれ測定する部位や表示方法が異なります。
体温計の種類 | 測定する部位 | 表示方法 |
予測式体温計 | ワキ・口中 | 測定開始からの体温上昇の変化を感知し、その特徴から最適な予測式を選択し、数分後の体温を予測・表示する。 |
実測式体温計 | ワキ・口中 | 測定した部位の温度を測定し、そのまま表示する。 |
皮膚赤外線体温計(非接触体温計) | 製品により異なる(ワキ・口中・手首・額など) | 測定した部位の赤外線放射量を測定し、体表面温度を予測・表示する。 |
体温計の種類や測定部位を把握したら、それぞれの体温計で体温を正しく測る方法を見ていきましょう。
皮膚赤外線体温計は製品によって測定する部位が異なります。指定された部位以外では正しく測定できないので、取扱説明書を必ず確認しておきましょう。
どの体温計で測る場合も、検温が完了するまでじっとしていることが大切です。
体温は睡眠と大きく関係しています。寝起きは1日のなかで一番体温が低い状態であるため、寝起きの体温が高いことは、概日リズムが崩れていたり、体調不良が悪かったりするケースが考えられます。
概日リズムを整えるには、就寝前の深部体温を下げることや、朝起きたら日光を浴びることが大切です。本記事でご紹介した「体温の変化を利用して質の高い睡眠を得る方法」もぜひ試してみてください。
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