公開日:2022.04.20
更新日:2023.03.20
目次
ウールの素朴で心地いい肌触りは、多くの人から愛されています。保温性に優れている特長があるため、秋冬の定番というイメージが強いかもしれません。しかし、ウールは保温性だけでなく吸放湿性もあり、秋冬はもちろん夏場も使える素材です。
一方で、ウールの特長や他の素材との違い、お手入れ方法を知らない人も少なくないでしょう。今回はウール素材の特長やお手入れ方法、取り扱う際の注意点などを解説し、おすすめのウール素材の寝具も紹介します。ウールのことが分かれば、目的や用途に合わせて後悔のない選択ができたり、お気に入りの寝具を長持ちさせたりできますよ。
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一般的には羊の毛を原料とする動物繊維をウールといいます。ただ、厳密には羊毛だけでなくアンゴラやアルパカ、カシミヤなど他動物の繊維もウールと呼びます。しかし、羊毛以外はそれぞれの名前で表記されるため、ウールは羊の毛という解釈で問題ありません。
ウール製品の多くはメリノウールが使われています。他には手芸用の毛糸に使われるコリデール、カーペット素材として人気のロムニーなどがあります。オーストラリア、ニュージーランド、中国が主な原産国で、日本で使われているウール製品もほぼ海外から輸入されたものです。
ウールといっても羊の種類、育った環境などによって風合いや特長は異なります。また紡績の過程で、光沢があり滑らかな梳毛(そもう)、粗く素材本来の風合いが楽しめる紡毛(ぼうもう)と区分されるため、肌触りや光沢、扱い方も変化するでしょう。ここではウール本来の特長を7つ紹介します。
ウールは吸放湿性に優れ、汗を吸収すると水分をすぐに発散させます。コットンの約2倍、ポリエステルの約40倍ともいわれるほど吸湿力があるのです。
夏場や暖房の効いた室内でも蒸れないウールはサラリとした着心地、寝心地を実感できるでしょう。
ウールの繊維にはクリンプと呼ばれる縮れが多数あります。繊維どうしが複雑に絡み合うことで、繊維内には多くの空気が含まれます。
これら空気の層は外気を遮断するため熱を逃さずに、高い保温性を維持するのです。夏場は暑さを遮断する働きがあるため、涼しさを体感できるでしょう。
ウールは縮れた繊維が複雑に絡み合っているため、伸縮性にも優れています。ウールを引っ張ると約30%も伸びます。
また、元に戻ろうとする復元力も強いため、シワになりにくい・型崩れしにくい特長も。そのため、スーツやコートなど厚手のしっかりした生地でも着やすく、ウールの寝具は寝返りしてもシワになりにくいのです。
吸湿性が高いため染料も繊維の中に十分に吸収され、ムラなくきれいに染めることができます。染料とよくなじむため、色落ち・色あせしづらくなるのです。
ウールには水をはじく特長があります。特に水溶性の汚れに強く、雨や泥水などを効果的に防ぐことができます。小雨程度ならサッと手で払うだけで水滴は飛び散るでしょう。
ウールは保水率が高いため、帯電しにくい特長があります。冬場に発生しがちな静電気を防ぐだけでなく、ホコリやゴミもつきにくくなるでしょう。
ウール素材は快適な睡眠に欠かせない機能が備わっています。
まず、ウールは吸放湿性に優れています。汗や水分を吸って空気中に発散させるため、布団の中がジメジメすることがありません。もし水に濡れたとしても、軽く陰干しするだけで、あっという間に乾くでしょう。
また、ウールは縮れた繊維が絡み合っていて、繊維の中に多くの空気を含んでいます。空気の層が断熱材のような役割をするため、夏は涼しく冬は暖かく眠れるでしょう。さらに、静電気が発生しづらくホコリやゴミが付着しにくいウールは、アレルギーや肌トラブルで悩んでいる人、小さな子どもがいる家庭でも安心して使用できます。
優れた特長をもつウールにもデメリットはあります。デメリットと対策法を紹介します。
ウールは動物性の天然素材です。そのため、虫食いにあう可能性があります。ホコリや食べこぼしなどが付着したまま保管すると虫食いの原因に。定期的にクリーニングに出す、防虫剤を使用する、風通しの良いところに保管するなど対策すれば、虫食いも防げるでしょう。
ウールは基本的に水洗いには向いていません。洗濯表示を確認せずに水で洗うと、フェルト化して生地が硬くなり繊維が縮んでしまいます。また、ウール本来の風合いが失われ毛玉ができることも。
長く愛用したいアイテムはクリーニングに出すか、正しい方法で洗濯・乾燥する必要があります。
羊毛からできるウールは動物繊維のひとつです。他にもカシミヤ、モヘヤなど動物から作られた繊維があります。化学繊維にもウールのような特長をもつ素材もあるのです。それぞれの素材の特徴を紹介します。
カシミヤヤギの毛からできた素材で、1頭からわずかな量しかとれず、高級素材として知られています。細長い毛足と柔らかな触りごこち、軽さが特徴です。
アンゴラヤギの毛から作られた素材です。シルクのような美しい光沢と滑らかな質感、高い耐久性が特徴。紡績技術が特殊なため、ウールよりも生産量が少ないです。
モコモコ感が特徴のワカイヤ種、柔らかく光沢のあるスーリー種があります。ウールよりも軽く、高級素材として有名です。
アンゴラウサギの毛から作られたものです。デリケートな素材のため、ウールや化学繊維を混紡することがほとんど。柔らかくて軽く、吸収性があります。
アクリルは化学繊維の一種で、ウールのように柔らかく、保温性があります。ウールより安価で手に入れられる一方、吸湿性や強度は劣るでしょう。
ウールは寝具にも衣類にも使われている人気の素材です。ただし、動物性の天然素材のため取り扱いには注意が必要です。
洗濯表示は必ず確認しましょう。確認せずに水洗いするとフェルト化して生地が硬くなったり、縮んだり毛玉ができたりします。
害虫に好まれやすいウール。皮脂や食べこぼしをつけたまま保管すると、虫食いの原因につながります。防虫剤を使ったり、定期的にタンスや棚を開けたりして風通しの良い環境にする必要があります。
ウールマークはオーストラリアン・ウール・イノベーション(AWI)による登録商標であり、140ヵ国で使用されている共通のマークです。AWIが定める厳しい基準をクリアした高品質なウール製品にだけに与えられるものです。
ウールには3種類のマークがあり、羊から刈り取った新毛の割合によって区分されます。
羊から刈り取ったばかりの新毛を100%使用しているもの。
新毛を50%以上使用しているウール製品。
新毛を30〜50%含むウール製品。
ウールを使った寝具は夏は涼しく冬は暖かく眠れます。吸放湿性にも優れているため、蒸れにくいのも魅力です。
機能性・デザイン性に優れ、安眠効果も期待できるウール素材の寝具を厳選しました。
ウールのなかでも特に品質が高いと評されるメリノウールを使用し、日本の職人が丁寧に織りあげた毛布です。保温性が高く、真冬でも体をしっかり温めてくれます。表面と裏面の色が異なるリバーシブルになっているところもおしゃれです。
天然の調湿機能を持つウールは、温度、湿度ともに素早く快適な環境に整え、まさに「天然のエアコン」。 背中側の敷きものにウール素材を使うことで、暖かいだけでなく体圧を分散し快適に眠る事ができます。 マットレスはロングサイズでも使用可能。マットレス、敷布団どちらでもお使いいただけます。
通気性と弾力性に優れたウール100% (側地は綿100%) のベッドパッドです。吸湿性、放湿性もよく洗濯も可能。側地には抗菌・防臭加工が施されており、衛生的で清潔にご使用いただけます。四隅にズレ防止のゴムストッパー付。
ウールは手洗いができるもの、ドライクリーニングのみの2つに分かれます。まずは洗濯表示を必ず確認しましょう。手洗いできるものでも、場合によっては風合いが損なわれる可能性もあるため、お気に入りのアイテムはドライクリーニングに出すほうがおすすめです。
水で洗うと繊維がフェルト化して硬くなり、39℃以上の熱湯で洗うと縮んでしまいます。そのため、手洗いできるものでも30℃前後のぬるま湯で洗いましょう。
アルカリ性の洗剤や漂白剤はウールの繊維が溶けてしまう可能性があります。
強くこすると毛玉ができたり、劣化を早めたりします。また、洗剤がきれいに落ちるまで、しっかりすすぐのも大切です。すすぐ際もぬるま湯を使いましょう。
手洗いがベターですが、時間がない場合は洗濯機を使うこともあるでしょう。洗濯ネットに入れて、水流の弱いコース、おしゃれ着コース、ソフトコースなど素材に負荷がかからないコースを選択してください。
ウールは熱に弱いので乾燥機は避けましょう。また、天日干しすると色落ち、縮れの原因になります。
タオルで水分をとるか、30〜40秒ほど洗濯機で脱水します。脱水後は形を整え、風通しの良いところに陰干ししましょう。
ここからはウールの正しい保管方法を紹介します。
ウールに付着した汚れは虫食いの原因になります。保管前にホコリや食べこぼしは取り除きましょう。
高温多湿のところに保管すると、カビが発生してしまいます。クリーニングから戻ってきた際のビニール袋は湿気の原因になるので外してください。
温度・湿度の低い場所に保管するだけでなく防虫剤や乾燥剤もあわせて使うと、虫食いやカビを防ぐことができます。
定期的にタンスを開けて空気を入れ替えたり、風通しの良い所に陰干ししたりして清潔な状態を保ちましょう。
ウールは吸放湿性に優れ、年間を通して快適に使える素材です。しかし、動物性の天然素材のため虫食いにあいやすかったり、お手入れ方法を知らなければ生地が縮んだりすることもあります。それらを理解した上で、ぜひウール素材の寝具を取り入れてみてください。
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