生あくびとは？病気が原因なの？生あくびの対策と注意点を紹介

あくびは、疲れが溜まって眠気を感じるときに出るものですが、「よく眠っているはずなのに、あくびがよく出る」という方も多いのではないでしょうか。この場合、身体の不調のシグナルとして出ている可能性があります。本記事では、眠気がないときに出る「生あくび」の原因や対策、注意すべきことなどを解説します。あくびが頻繁に出ることに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

生あくびとは

「生あくび」とは、眠気を感じていないのに出るあくびのことです。緊張しているときや、その反対にボーッとしているときに出ることが多いと言われています。

生あくびと普通のあくびの違い

それでは、普通のあくびと生あくびにはどのような違いがあるのでしょうか。普通のあくびは眠いときに発生するのに対し、生あくびは眠くないのに発生するという違いがあります。また、普通のあくびは「眠気から目覚めを促すサイン」とも言われ、それに基づけば、生あくびは「緊張や退屈な状態からリフレッシュを促すサイン」と言うことができるでしょう。

生あくびが出る仕組み

生あくびのメカニズムは明確に解明されていませんが、脳が関係していると言われます。ここからは、生あくびが出る仕組みについて説明します。

脳の酸素不足を補う

外的要因や病気などの要因で脳内の酸素が不足しているとき、酸素を取り込むためにあくびをするという説があります。あくびで空気を一気に取り込むことで血中の二酸化炭素濃度を下げ、酸素濃度を高めていると考えられます。例えば、山の上の方など酸素濃度が低い場所に滞在しているとき、生あくびが出た経験がある方も多いでしょう。「酸素飽和度（SpO2）」が90%未満の状態が長く続くと「酸素欠乏症（さんそけつぼうしょう）」になるおそれもあるため、この場合の生あくびは正しい生理現象だと言えます。

脳の温度調節を行う

脳内の温度は約37℃が最適ですが、ストレスや不安で過熱することがわかっています。脳内の温度が上がりすぎると機能障害を起こすことがあるため、これを防ぐためにあくびをして冷たい空気を取り込んでいるのです。また、鼻腔と口腔に大量の空気が流れ込むと放熱され、「頭蓋動脈系（ずがいどうみゃくけい）」が冷やされるとも言われています。

脳のリフレッシュをする

脳のリフレッシュのためにあくびをするという説もあります。大きく口を開けるあくびの動作は、あごの筋肉を刺激したり、頸動脈（けいどうみゃく）や頸静脈（けいじょうみゃく）を圧迫したりして、脳の覚醒を促進させるからです。特に緊張しているときや退屈なときなどは、あくびをすることで脳がすっきりとリフレッシュします。

生あくびの原因として考えられること

生あくびには、さまざまな原因があります。ここからは、主な生あくびの原因を3つ取り上げて解説していきます。

自覚のない睡眠不足

あくびが頻繁に起こる場合、自覚のない睡眠不足に注意する必要があります。生あくびだと思っていても、実は眠気から発生しているあくびの可能性が高いからです。しっかり寝ているつもりでも、睡眠の質が低く、疲労が取れていないケースや、自身に必要な睡眠時間が足りず、睡眠負債の状態になっているケースも多いです。日中にやたらあくびが出るなら、睡眠不足を疑ってみましょう。

ストレス

生あくびの原因の一つとして、ストレスが挙げられます。日常的にストレスや心労が溜まり、自覚のない睡眠不足に陥っているため、あくびが出やすい状態になっているのかもしれません。人間関係がもとでストレスを抱え、眠りが浅くなっている人も多いでしょう。人間関係のような、ストレス源を取り除くのが難しい場合は、寝具を見直したり睡眠環境を整えたりすることがおすすめです。

病気の可能性

まれに、病気や身体の異常から生あくびが出る場合もあります。主に脳の病気である可能性が高く、脳梗塞や脳腫瘍を発症すると、身体の片側のしびれやふらつきなどの自覚症状とともに生あくびが急に増えるものです。また、貧血や低血圧、狭心症になると、あくびとともに、立ちくらみや疲れやすさといった自覚症状が出やすいでしょう。そのため、生あくびが急に発生した場合は、ほかの症状がないか確認することが重要です。また、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害や更年期障害、熱中症、車酔い、頭痛の前兆などの体調不良でも起こりやすいと言われています。

生あくびが出る病気

前述したように、病気が生あくびの原因になっている可能性も高いです。どのような病気が考えられるのか、具体的な症状とともに解説していきます。

脳梗塞

「脳梗塞」は、脳血管に血栓が詰まることで起こる病気です。血管が詰まると酸素と栄養分を運ぶ血流が遮断され、脳細胞が損傷します。脳は場所によってそれぞれ異なる役割があるため、損傷した部位によって違う症状が現れます。主な症状としては、手足の運動・感覚まひやしびれ、話しにくさ、見えにくさなどが挙げられます。

脳腫瘍

「脳腫瘍」は、脳や脳をとりまく組織に腫瘍が発生することで起こる病気です。頭蓋内に発生するという共通点はありますが、発生部位や性質によって複数の種類に分けられます。例えば、「神経膠腫瘍（しんけいこうしゅよう）」がもととなる「神経膠腫（しんけいこうしゅ）」は、別名グリコーマとも言われ、最も多い脳腫瘍です。脳腫瘍で見られる症状には、慢性的な頭痛や吐き気、視神経の異常、手足のまひ・しびれなどがあります。

貧血

「貧血」とは、血液中の赤血球に含まれる「ヘモグロビン」が少ない状態のことです。ヘモグロビンは酸素を運ぶ役割を持つため、量が低下すると運ぶ酸素の量も少なくなってしまいます。身体のすみずみまで酸素が十分に行き渡らなくなることで、めまいや立ちくらみ、動悸・息切れ、倦怠感、顔面蒼白といったさまざまな症状が現れます。

低血圧

心臓から流れる血液が血管を押す力を「血圧」と言います。血圧は、心臓が収縮して血液を押し出すときに高くなり、心臓が拡張して血液の流れが緩いときに低くなる仕組みです。「低血圧」は、最高血圧が100mmHg未満の場合で診断されることが一般的です。血圧が低過ぎると身体に十分な酸素や栄養素が行き渡らなくなり、めまいや立ちくらみ、朝起きられないなどさまざまな症状が生じます。

狭心症

「狭心症」は、心臓の「冠動脈（かんどうみゃく）」が詰まって狭まり、酸素や栄養分が届かなくなる病気です。似た病気として「心筋梗塞」がありますが、心筋梗塞では冠動脈が塞がって血流がなくなるのに対し、狭心症ではいくらか血流がある状態です。主に、胸の痛みや締めつけられるような圧迫感が症状として挙げられます。

気になる症状がある場合は医療機関へ相談しよう

生あくび以外に気になる症状がある場合、重篤な疾患の可能性もあります。「大したことはないだろう」と放っておかず、早めに病院を受診することをおすすめします。特に、手足のまひやしびれ、歩いているとふらつく、つまずきやすいといった体調の異変を感じることが増えたときは注意が必要です。

生あくびを止めたいときにおすすめの方法3選

会議や商談、授業など、あくびを出せない大事なシーンは多いものです。生あくびを止めたいときはどのようにすれば良いのでしょうか。ここからは、3つのおすすめの方法を紹介します。

深呼吸をする

生あくびを止める簡単な方法として、深呼吸がおすすめです。酸素を身体に取り込むことで、脳の酸欠状態を効率良く改善できます。その際、「腹式呼吸」で10回程度深呼吸を繰り返すと効果が高いので、ぜひ試してみてください。

ストレッチをする

軽いストレッチも生あくびを防止する方法の一つです。身体を動かして血流を良くすることで、脳の酸欠状態が改善されます。背伸びなどはもちろん、歩いたり立ち上がったりするだけでも効果があります。長時間同じ姿勢のままにならないよう、気をつけましょう。

ガムをかむ

生あくびが止まらないときは、ガムをかむ方法もおすすめです。口を動かして周辺の筋肉を刺激することで脳の覚醒につながります。また、しゃべるだけでも効果的です。上唇を舐めるなど、舌を意識的に動かしてみても良いでしょう。

生あくびを予防するには生活習慣を改善し睡眠の質を上げよう

生あくびは、睡眠不足や疲労が原因で発生する場合も多いため、まずは生活習慣を改善することが大切です。日常に取り入れて欲しい改善方法を4つ紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

ストレスを溜め込まない

ストレスは睡眠不足の原因となるため、溜め込まないようにすることが重要です。通常、日中は活動モードに導く交感神経が優位で、夜には休息モードに導く副交感神経が優位になりますが、ストレスが溜まっていると夜になっても副交感神経に切り替わらず、睡眠の質の低下につながります。そのため、アロマや音楽など、自分の好きなものでリラックスするように意識することが大切です。

運動習慣を取り入れる

運動習慣を取り入れることも生活改善に効果があります。この場合、激しい運動や緊張する運動ではなく、リラックスして行える有酸素運動がおすすめです。例えば、早足の散歩や軽いランニングがちょうど良いでしょう。また、運動は夕方から夜、就寝の3時間前を目安に行うとさらに効果的です。

バランスの良い食事を摂る

バランスの良い食事を摂ることも生活習慣の改善には欠かせません。特に、疲労を回復させる成分や貧血を防ぐ鉄分を意識的に摂ることをおすすめします。具体的には、鶏むね肉や卵、豆腐など高タンパクな食材を中心にすると良いです。また、朝食を抜いている人は、しっかりと食べることで体内時計がリセットされ、睡眠の質の改善に役立ちます。

睡眠環境を見直す

生活習慣を改善するには、睡眠環境の見直しも大切です。この場合、最も効果が高いのは、自分の身体に合ったマットレスや枕を使用することです。また、リラックスできるパジャマを身に着けて寝返りをスムーズにすることも、睡眠の質の向上に役立ちます。加えて、寝室の温度や湿度、明るさにも配慮しましょう。寝る前は、スマホやPCの利用を控えることも重要です。

睡眠の質を上げるおすすめマットレス3選

睡眠の質を上げるおすすめ枕3選

リラックスできるおすすめパジャマ3選

まとめ

眠くないのに出る「生あくび」は、脳の酸素補充や温度調節、リフレッシュのために発生する仕組みです。止めたい場合は、深呼吸やストレッチで血流を良くすることがおすすめです。また、生あくびの原因として、自覚のない睡眠不足やストレスが挙げられますが、脳の病気や貧血、低血圧などが隠れている可能性もあります。生あくびだけでなく、手足のまひやしびれといった症状が見られるときは、必ず医療機関に相談しましょう。