公開日:2023.02.15
更新日:2023.03.16
目次
まとまった睡眠時間を確保することが難しい方のなかには、分割して睡眠をとる方もいるでしょう。睡眠を分割することは、人によっては疲労回復や睡眠不足を解消させるメリットがありますが、健康を損なう可能性があるため注意が必要です。
そこで今回は、分割睡眠のメリット、デメリットや分割睡眠の種類、睡眠の質を高める方法を紹介します。分割睡眠に興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
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1日の睡眠時間を2回に分けることを分割睡眠と呼びます。分割睡眠は特殊な睡眠方法ではなく、睡眠スタイルの一つです。他には、1日24時間の間で何回も眠る多相性睡眠と、1日に1度まとめて眠る単相性睡眠があります。
なお、一般的には日中に活動して夜に眠る生活が定着しているため、夜間にまとまった睡眠をとる単相性睡眠を睡眠スタイルとしている人が多いです。
多くの場合、夜間に6〜8時間睡眠をとることが望ましいといわれているため、分割睡眠は身体によくないと考えている方も多いでしょう。しかし、かつては分割睡眠が一般的な睡眠スタイルとされていたことがわかっています。
電気のない時代は1日のうち12時間は暗い状態であるため、明かりがない時間帯に3〜4時間程度の睡眠を2回とっていたのです。ただ、照明の発達や農耕生活が定着したことで、夜にまとまった睡眠時間をとることが習慣化したといわれています。
そもそも睡眠にはどんな役割があるのでしょうか。ここでは睡眠によって得られる効果を説明します。
睡眠の代表的な効果は、身体に蓄積された疲労を回復させることです。身体全体が休まるので、疲労の自覚症状がない部分にもアプローチできます。就寝後3時間は成長ホルモンが多く分泌され、日中に浴びた紫外線やストレスなどの影響で壊れた細胞が修復されます。
日中は身体だけではなく脳も疲労し、熱や老廃物が出てきます。脳から排出される老廃物は睡眠によってメンテナンスされます。この働きは、認知症のリスク軽減にも役立ちます。
睡眠は、起きている間に見たこと感じたことなどの記憶が整理されます。ノンレム睡眠で感情などを整理し、レム睡眠で記憶として定着させます。記憶を定着させるためにも、まとまった睡眠時間をとる生活リズムにしておくことが大切です。
眠ることで食欲をコントロールするホルモンが適切に分泌され、身体の代謝を促します。睡眠はエネルギー代謝を促進させ、太りにくい体質づくりに役立ちます。
また、睡眠不足になると日中に眠気が出て運動不足になることから、肥満防止には睡眠が重要な要素だといわれています。
ここでは、分割睡眠で得られるメリットを見ていきましょう。
夜勤をしている方など、夜にまとまった睡眠をとることが難しい場合に分割睡眠は効果的です。夜間に2時間ほど仮眠をとり、日中再び眠ることで疲労回復につながります。仮眠すると夜勤後の睡眠時間を短くできるので、日中の活動時間が増えることもメリットといえるでしょう。
分割睡眠は、足りない睡眠時間を補う方法として有効です。不眠症や寝不足の方、忙しくて夜間に睡眠時間を確保できない方は、疲労回復の手段として分割睡眠を取り入れるのもよいでしょう。
また、加齢によって睡眠が浅くなるといわれています。夜6〜8時間眠ることが難しく、睡眠時間が短くなりがちな高齢者の方にもおすすめです。
分割睡眠は、夜間に眠る一般的な睡眠と比べ、デメリットもあります。分割睡眠を取り入れる場合は、デメリットも押さえておきましょう。
分割睡眠でも良質な睡眠をとれていれば問題ないとされていますが、健康に関するリスクがないとは言い切れません。
また、1日の睡眠時間が7時間未満の場合は、記憶障害や糖尿病のリスクが高まることがわかっています。寿命に関係することであるため、健康的な生活を送るためにも、まとまった睡眠時間をとる方が安心です。
分割睡眠では十分な疲労回復効果が見込めないため、まとまった睡眠と比較して、脳のパフォーマンスが低下します。日中に疲れを感じると、仕事や勉強に支障をきたす恐れがあるので、まとまった睡眠時間を確保しましょう。
分割睡眠が合うかどうかは体質によります。分割睡眠を数日試して疲労感が残る場合は、分割睡眠が身体に合っていない可能性があります。体質に合わないまま継続すると、睡眠不足になる恐れがあるので注意しましょう。
夜間にまとまった睡眠をとる単相性睡眠では、睡眠前後に1日の区切りをつけられます。しかし、1回の睡眠時間が短い分割睡眠は、1日の区切りをつけにくくなります。分割睡眠を取り入れると、朝と夜の生活リズムが変わってしまうことも考えられるでしょう。
夜間に眠り、日中活動が前提となっている学校や会社で生活をしている人は、単相性睡眠の生活リズムを10〜20年送っていることになります。そのため、分割睡眠を習慣化するには時間がかかります。分割睡眠に移行する場合は、睡眠時間を少しずつ調整するなどして、徐々に慣らしていく必要があるでしょう。
分割睡眠は不規則な生活になるため、単相性睡眠よりも体内時計に影響しやすいのがデメリットです。一度崩れた生活リズムを戻すには、身体に大きな負担がかかります。そのため、イレギュラーが多い職種や生活環境の方は、単相性睡眠を意識した生活を送ることがおすすめです。
分割睡眠で単相性睡眠と同等の睡眠効果を得ることは難しいのが現状です。睡眠スタイルに関わらず、睡眠の質が低くなると睡眠不足につながります。慢性的な睡眠不足は睡眠負債となり、体調不良や睡眠障害の原因となるので注意しましょう。
分割睡眠の方法は、以下の4つに分類されます。
シエスタ・スリープは、夜の長い睡眠と1回の昼寝で構成される方法です。午後の眠気を取り除くため、昼食後に眠るのがおすすめです。
エヴリマン・スリープは、3時間半のまとまった睡眠と20分の仮眠3回で構成される方法です。夜は短めに眠り、こまめな仮眠をとって眠気を取り除きます。
ウーバーマン・スリープは、まとまった睡眠を取らず1日6回、20分の仮眠で構成される方法です。ウーバーマンとは「超人」を意味します。1日の合計睡眠時間が2時間程度になるため、実際に実行するのは難しいことがほとんどです。
ダイマキシオン・スリープは、1日にまとまった睡眠時間をとらず、30分の仮眠4回で構成される方法です。ウーバーマン・スリープと同様に、1日に2時間しか寝ない方法であるため、最も恐ろしい睡眠法といわれています。
ここでは、理想的な睡眠を叶えるために必要な要素を紹介します。
一般的には、理想的な睡眠時間は6〜8時間といわれています。推奨される理由には、病気のリスクを低減させられることなどが挙げられます。
なお、睡眠時間は年齢を重ねるごとに短くなる傾向があるため、高齢者には6時間寝ていれば十分という方が多いです。なお、適した睡眠時間は個人差があるため、自身に最適な睡眠時間を見つけることが大切です。
良質な睡眠がとれているかは、以下の項目から判断できます。
これらの項目に当てはまっていれば、良質な睡眠といえるでしょう。
入眠後すぐは浅い眠りの「ノンレム睡眠」が現れ、その後深い眠りの「レム睡眠」が現れます。これらは約90分を1サイクルとして睡眠中に繰り返されています。睡眠サイクルのバランスが整っていれば、脳や身体がしっかりと休まるので、理想的な睡眠といえるでしょう。
睡眠と食生活は密接に関係しています。ここでは睡眠の質を高める理想的な食生活を紹介します。
食後すぐに寝ると、胃の活動が脳に刺激を与えてしまうため、睡眠の質が低下する可能性があります。就寝の2〜3時間前に夕食をとることが理想とされますが、難しい場合は消化にいいものを食べるなどの工夫を取り入れてみましょう。
栄養バランスを意識した食事をとることも大切です。脂質や糖質が多い食べ物は肥満のリスクを高め、睡眠時無呼吸症候群や脳卒中などのさまざまな病気を発症する可能性があります。
消化のいい食生活を心がけて、睡眠の質を高めながら病気のリスクを低減させましょう。
あたたかい飲み物を飲むと血行がよくなり眠気を誘います。牛乳や豆乳は、快眠に効果のあるトリプトファンという成分が含まれているのでおすすめです。寝る前にあたたかいものを飲むと、体温が徐々に下がり、良質な睡眠につながります。
カフェインやアルコールは、覚醒作用があるため睡眠を妨げる原因になります。利尿作用により途中で起きてしまいやすくなるので、就寝前の摂取は控えましょう。また、過剰摂取は依存症のリスクがあるため注意が必要です。
睡眠の質を高めてくれるようなサプリメントを活用することもおすすめです。睡眠をサポートするサプリメントには、GABAやグリシン、テアニンなどが挙げられます。寝つきが悪い人は、グリシンが主成分のサプリメントを選ぶなど、自分に合うものを試してみましょう。
次に、睡眠の質を高めるために意識したい生活習慣を紹介します。
人は、体温が上昇し低下し始めるときに眠気が現れます。就寝の1〜2時間前に入浴して身体をあたためると、布団に入る頃に体温が低下し、入眠しやすくなります。ただし、41度以上の熱いお風呂に入ると交感神経が活性化し、目が覚めてしまうので注意しましょう。
日中に適度な運動を行うと、疲労感から眠りがより深くなることが期待できます。ただし、激しすぎる運動は疲労回復に時間がかかってしまうため、軽いランニングや散歩などの有酸素運動を取り入れてみましょう。
健康的な睡眠リズムがつくられていれば、ほぼ毎日一定の時間に起床、就寝ができます。毎日バラバラの起床時間だと体内時計が乱れる原因となるため、睡眠の質が低下してしまいます。休日に寝だめをする習慣がある方は、平日と同じ時間に起きることを心がけましょう。
まとまった睡眠時間が取れない人は、昼寝がおすすめです。15〜20分程度の短い昼寝は疲労回復効果があり、午後のパフォーマンスが向上します。昼寝をできる環境の方は、昼食後に昼寝を取り入れてみましょう。
不規則な生活で体内時計が乱れている方は、朝日を浴びて体内時計をリセットしましょう。睡眠を促すメラトニンの分泌が朝日によって抑制され、分泌が再開される14〜16時間後に眠気が現れるといわれています。夜の寝つきが悪い方も、朝日を浴びることで寝つきの改善が期待できます。
意識がない睡眠時は、睡眠サイクルを自分でコントロールすることは難しいものです。睡眠アプリを利用すれば、睡眠サイクルを可視化できます。入眠しやすい音源を流したり、眠りが浅いときに目覚ましを鳴らしてくれたりなど、さまざまな機能を備えたアプリがあります。眠りをサポートする手段としてアプリを活用するのもよいでしょう。
睡眠の質を高めるには、リラックスできる睡眠環境が大切です。できることから始めて、睡眠環境を整えていきましょう。
自分に合う寝具を使用することは、睡眠の質を高める重要な要素です。体圧分散や適度な反発力のあるマットレスは、体圧が全体に分散されるため、包み込まれるような寝心地を実現します。
また、首や肩に負担がかからない高さの枕を選ぶことも大切です。フィットする形やサイズは人それぞれなので、店舗で実際に試したうえで自分に合った枕を選びましょう。
音楽にはリラックス状態になるα波と呼ばれる脳波を引き出すものがあります。寝る前に副交感神経を優位な状態にすると、睡眠の質を高める効果が期待できます。睡眠用のヒーリングミュージックを設定し、タイマーで自動停止するように設定するのもおすすめです。
アロマの香りは、脳にダイレクトに伝わるため、心身をリラックスさせる効果があります。リラックスできる香りは、個人差があるので、自身に合ったアロマを取り入れてみましょう。
PCやスマホなどの電子機器から発せられるブルーライトは、眠気を促すホルモンの分泌を妨げます。睡眠リズムを崩す原因となるため、就寝前の利用は控えましょう。布団のなかでスマホを操作する習慣がある場合は、寝室にスマホを持ち込まないなどのルールを決めることも効果的です。
睡眠に適した室温は、夏場が26〜28度、冬場は16〜19度とされています。湿度は通年50〜60%に調整するのがおすすめです。
また、温度や湿度だけでなく、照明の明るさや騒音への配慮が睡眠の質を高めることにつながります。睡眠の質をあげるためにも、寝室の環境にもこだわってみましょう。
布団に入って30分寝られないときは、一度布団から出るようにして、不眠の条件反射をつくらないことも一つです。布団から出た後は、眠くなるまで読書をするなど、リラックスできる過ごし方を心がけましょう。
分割睡眠は、通常の睡眠ほどの効果には劣りますが、夜間にまとまった睡眠時間を確保することが難しい方にとっては、疲労を回復できる効果的な手段です。
夜勤や不規則な生活の方は分割睡眠を取り入れる選択もあります。ただし、何度試しても疲労回復されない場合は、身体に合っていないことも考えられるので、今回紹介した睡眠の質を高める方法を試してみてください。
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