海島綿（シーアイランドコットン）とは？特徴と魅力を紹介

「肌着がゴワゴワして気になる」「化学繊維が合わないのか肌荒れがひどくなってきた」こんな悩みはありませんか。そんな肌のトラブルには、天然繊維の海島綿（シーアイランドコットン）がおすすめです。海島綿はシルクのようにしっとりなめらかで、肌に優しく高品質な素材です。

今回は、海島綿の魅力とメリット・デメリットを紹介します。

海島綿（シーアイランドコットン）とは

海島綿（シーアイランドコットン）とは、特有の光沢となめらかさを持つ、カリブ海などの限られた地域で栽培されている高品質なコットンです。日本では「海島綿（かいとうめん）」とも呼ばれています。

ここでは、たくさんの魅力を持つ海島綿の特長を紹介します。

10万分の1の希少性

海島綿は栽培がむずかしく、収穫量は全綿花のわずか10万分の1程度です。その希少性の高さから「幻のコットン」とも呼ばれています。限られた気象条件が必要で害虫にも弱いため、もともと西インド諸島のカリブ海地域にある4カ国のみで生育していました。海島綿の栽培に必要な気象条件は以下のとおりです。

• 年間平均気温26〜28℃
• 昼夜の寒暖差が少ない
• 年間雨量1,100〜1,200mm
• 年間総日照時間3,000時間
• アルカリ性の土壌
• 発芽成長期が雨季、開花時が乾季

1790年代にアメリカへの導入が成功し、大規模な栽培が行われていましたが、1918年頃に発生した害虫被害によって終わりを迎えました。その後、約100年のときを経て、2017年にアメリカ産の海島綿が栽培を再開しています。

繊維の長さが最高峰

綿は繊維の長さによって以下の3種類に区分されます。

区分	綿の長さ
短繊維綿	21ｍｍ以下
中繊維綿	21～28ｍｍ
長繊維綿（うち35mm以上を超長綿という）	30ｍｍ以上

海島綿は長繊維綿に区分され、なかでも35mm以上の綿を指す超長綿（ちょうちょうめん）として知られています。

超長綿は、肌触りがなめらかでシルクのような光沢感が魅力です。さらに吸湿性や放湿性、繊維の強度も併せ持っているため機能性も抜群です。

超長綿には、海島綿のほかにもさまざまな種類があります。

• ペルー「ピマ綿」
• 中国「新疆綿（しんきょうめん）」
• アメリカ「スーピマ綿」
• インド「スビン綿」
• エジプト「ギザ綿」

強度としなやかさを両立できる繊維

海島綿は、十分な強度を保ちながらしなやかで柔らかい糸が作れます。ここでは、しなやかな糸を作れる理由を紹介します。

繊維が長い

繊維の長い海島綿は、繊維同士を連結する「撚り（より）」が少なく済むので、しなやかな糸が作れます。繊維が長い分、1本1本が重なり合う部分が多くなり、摩擦力でくっつきやすくなるからです。また、海島綿は天然の撚り（より）が多く繊維同士が絡み合いやすいことも、しなやかな糸が作れる特長といえます。

一方、繊維が短い綿は摩擦が少なく繊維同士がくっつきにくいので、強く撚り（より）をかける必要があります。すると、強く絞った雑巾のように、しなやかさが損なわれて肌触りが悪い糸となってしまうのです。

繊維が細い

繊維が細い海島綿は、同じ太さの糸に使用する繊維数が多くなります。繊維数が増えるほど繊維同士が接触する点が増えるため、強くなめらかな糸に仕上がるのです。

加えて、本来は細い繊維ほど強度は下がるものですが、海島綿は繊維1本あたりの強度がほかの繊維より高い特長があります。かつては、パラシュートに使われていたほど高い強度を持っています。

王室に愛される品質

海島綿は世界最高のコットンとして、イギリスの王室や各国の貴族に長く愛されてきました。イギリスでは200年間の長きにわたって門外不出とされ、世界中の人々が羨む存在だったのです。かつてイギリスの王室では「綿製品といえばシーアイランドコットン」という風習もあり、金と同等に扱われた時代もありました。

カシミヤのようになめらかで、シルクのように光沢を放つ海島綿は、今でも世界最高品質を守り続けています。

海島綿製品のメリット・デメリット

海島綿で作られた製品のメリットとデメリットを紹介します。

海島綿製品のメリット

海島綿のメリットは以下の通りです。

• 光沢感がある
• 着心地がよい
• 吸湿性と放湿性が高い
• 耐久性が高い

海島綿は、ほかの綿に比べて反射度が約50％高く、美しい光沢感が味わえます。また、繊維内に油脂分を多く含んでいるため、カシミヤのような柔らかくしっとりとした着心地が楽しめます。

吸湿性や放湿性が優れている海島綿は、寝汗をかいても蒸れにくく、寝具やパジャマに向いている素材です。就寝中は汗で蒸れやすくなるので、湿気を解消できると睡眠の質がより高まるでしょう。

また、海島綿は強度が高く耐久性があるため、洗濯を繰り返しても風合いが保ちやすく「洗えば洗うほど味が出る」ともいわれています。

海島綿製品のデメリット

海島綿の唯一のデメリットは、高品質で希少性があるため価格が高くなりやすい点です。しかし、耐久性があり洗濯にも強い特長があるので、高品質な風合いを長く楽しめます。「安価な素材で何度も買い替えるより、高価であっても長く使用できる素材がほしい」と考える人には海島綿がおすすめです。

海島綿で作られる主な製品

海島綿を使った製品には、タオルや衣類、寝具などさまざま種類があります。海島綿でどのような製品が作られているのか、大きく3つの製品に分けて紹介します。

タオル

海島綿で作られたタオルは吸水性と強度が高く、洗濯によるヨレが少ないのが特長です。むしろ洗濯するほど吸水性が高まり、使うたびに心地よさが増していきます。海島綿はタオルだけでなく、ハンカチにも使われているため日常使いにもピッタリです。

海島綿のタオルは肌への負担が少ないので、肌が繊細な人にもおすすめです。

衣類

海島綿の衣類は吸湿性と放湿性が高く、蒸れにくいのが特長です。油脂分が多い素材なのでしっとりした質感が楽しめ、肌の乾燥や摩擦も防いでくれます。海島綿の衣類には、以下のような種類があります。

• シャツ
• パジャマ
• 肌着
• 長襦袢（ながじゅばん）
• バスローブ
• 靴下

海島綿は、Tシャツ、Yシャツ、ポロシャツなど種類が豊富です。海島綿のパジャマは蒸れにくく、寝汗による不快感を減らす効果が期待できます。バスローブの品揃えも豊富にあり、柔らかい質感を楽しめるだけではなく、濡れた身体の水分をすばやく吸収してくれます。靴下では湿気をスムーズに放湿してくれるので、靴の中が蒸れにくくなるでしょう。

寝具

海島綿は、蒸れにくい性質からさまざまな寝具に使われています。ヒトは寝ているときはコップ1杯分の汗をかくといわれており、海島綿のように吸湿性や放湿性が高い素材を寝具に取り入れると、より質のよい睡眠が取れるでしょう。海島綿が使われている代表的な寝具には、以下のものがあります。

• シーツ
• 布団カバー
• 枕カバー
• 羽毛布団（側生地）
• タオルケット
• 毛布

海島綿は吸湿性と放湿性が高いので、羽毛布団の側生地としても人気が高いです。また海島綿はとても軽く、寝具の重さによって息苦しくなることを防ぎます。

海島綿製品のお手入れ方法

ここでは、海島綿製品をお手入れする際の手順と注意点を紹介します。なお、お手入れ方法は商品によって異なるので、必ず洗濯表示に従いましょう。

洗い方

生地の脱色や傷みを防ぐために、中性のおしゃれ着用洗剤を使い、ネットに入れて洗いしましょう。お湯を使うと生地が傷みやすくなるので、30℃以下の水で弱水または手洗いモードを選びます。また、色の濃い製品と一緒に洗うと色移りする可能性があるため、別々に洗濯しましょう。

干し方

30秒〜1分ほど脱水をかけたら、日陰で平干しまたは吊り干しで自然乾燥させます。脱水のし過ぎや乾燥機の使用は、生地の傷みや縮みにつながるため避けましょう。

アイロンのかけ方

アイロンの温度は、商品ごとの洗濯表示に従いましょう。テカリ防止のために当て布を敷き、熱が1箇所に集中し過ぎないよう均一にアイロンをかけます。

まとめ

海島綿は、ごく限られた気象条件でのみ栽培できる貴重なコットンで「神様からの贈り物」ともいわれています。希少性が高いだけでなく、シルクのような柔らかい肌触りで、吸湿性や放湿性などの機能性も抜群です。海島綿は洗濯にも強いので、しなやかな風合いを長く楽しめます。化学繊維による肌トラブルに悩んでいる人は、ぜひ海島綿の心地よさを試してみてください。

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